ひとことで言うと
Google Vertex AI(バーテックス エーアイ)は、Google Cloud が提供している AI 向けのサービス群です。機械学習モデルを動かしたり、AI モデルを API 経由で呼び出したりできる「土台」だと思ってください。
Claude Code の文脈で名前が出てくるのは、Claude というモデルを Anthropic から直接使うのではなく、Google Cloud 経由で使うという選択肢があるからです。同じ Claude でも「どこの窓口から呼ぶか」が違う、という話になります。
「同じ商品を、違うお店で買う」イメージ
身近な例えをひとつ。ある有名メーカーのお菓子を買うとき、メーカーの公式オンラインショップで買うこともできれば、近所のスーパーで買うこともできますよね。中身のお菓子は同じです。でも、支払い方法やポイントの貯まり方、まとめ買いの割引、領収書の出し方はお店ごとに違う。
Claude と Vertex AI の関係もこれに近いものがあります。Anthropic の API を直接使うのが「メーカー直販」、Vertex AI 経由で使うのが「すでに取引のあるスーパーで買う」に相当します。モデルそのものは同じでも、認証の仕方や請求の窓口が変わってきます。
なぜわざわざ Google Cloud 経由にするのか
個人で趣味の開発をしているなら、正直そこまで気にしなくていい話です。直接 Anthropic のアカウントを作ったほうが手っ取り早い。
ただ、会社で使うとなると事情が変わります。よくあるのは次のようなケースです。
- 会社のインフラがすでに Google Cloud に乗っていて、新しく外部サービスと契約するには稟議が必要
- 請求をひとつにまとめたい(経理の都合)
- 権限管理やアクセスログを、すでに使っている Google Cloud の仕組みで一元管理したい
- データの扱いに関する社内ルール上、既存のクラウド契約の枠内に収めたい
要するに「技術的にすごいから」ではなく「組織の都合上そのほうが通しやすいから」選ばれることが多いんです。ここは意外と見落とされがちなポイントかもしれません。
直接使う場合との違い
| 観点 | Anthropic に直接 | Vertex AI 経由 |
|---|---|---|
| アカウント | Anthropic のアカウント | Google Cloud のアカウント |
| 認証 | Anthropic の API キー | Google Cloud の認証情報 |
| 請求先 | Anthropic | Google Cloud |
| 始めやすさ | すぐ始められる | Google Cloud 側の準備が必要 |
この表を見てもらうと分かる通り、違いはほとんど「周辺の事務手続き」の部分です。Claude Code を起動してコードを書いてもらう、という体験そのものが大きく変わるわけではありません。
始めるときにつまずきやすいところ
Vertex AI 経由での利用でハマりやすいのは、たいてい認証まわりです。Google Cloud はプロジェクト単位で管理されていて、「どのプロジェクトで」「どの権限を持ったアカウントで」アクセスするのかを正しく設定しないと動きません。
初めて Google Cloud を触る人だと、この「プロジェクト」という概念自体が最初の壁になります。プロジェクトは、リソースや請求をまとめる箱のようなもの。会社で言うと部署ごとの予算枠に近い感覚です。どの箱で作業しているかを間違えると、権限がないと怒られたり、意図しない箱に課金されたりします。
もうひとつ、リージョン(サーバーの場所)の指定も見落としがちです。使いたいモデルがそのリージョンで提供されているかどうかは、事前に確認しておくと余計な時間を使わずに済みます。
結局どっちを選べばいいのか
直接使うのが向いている人
個人開発、学習目的、とにかく早く試したい人。Google Cloud の知識がなくても始められます。
Vertex AI が向いている人
すでに業務で Google Cloud を使っている組織。請求や権限を既存の仕組みに寄せられます。
迷ったら、まずは手軽なほうで動かしてみて、必要になったら乗り換えを検討する、くらいの気持ちで十分だと思います。学習コストを最初から二重に払う必要はありません。
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