ダッシュボードは「車の運転席の計器盤」
ダッシュボード(dashboard)という言葉、もともとは車の運転席にある計器盤のことです。速度、燃料の残り、水温、警告ランプ——運転中にいちいちボンネットを開けて確認するわけにはいかないので、大事な情報だけを目の前に集めて、パッと見てわかるようにしてある。あれです。
ソフトウェアの世界で「ダッシュボード」と言うときも、意味はほぼそのままです。あちこちに散らばっている状態や数字を一箇所に集めて、一目で把握できるようにした画面のことを指します。
なぜわざわざ専用の画面を作るのか
情報自体は、実はたいてい別の場所にもあります。ログファイルを開けば書いてあるし、コマンドを叩けば数字は出てくる。それでもダッシュボードが作られるのは、「調べに行かないと気づけない」状態が問題だからです。
車で言えば、ガソリンの残量はガソリンタンクを覗けばわかります。でも走りながらそれはできない。だから針にして目の前に置く。同じで、ソフトウェアの運用でも「異常が起きてから探しに行く」のでは遅いので、常に見える場所に主要な数字を並べておくわけです。
だいたい何が載っているか
ダッシュボードと呼ばれるものは分野によって中身がまったく違いますが、載る情報の性格には共通点があります。
- 今の状態 — 稼働中か停止中か、正常か異常か
- 累積の数字 — 使った量、処理した件数、残りの枠
- 時間の推移 — 増えているのか減っているのか、グラフで見る
- 注意が必要なもの — エラー、警告、期限が近いもの
逆に、細かい生ログの一行一行みたいなものはダッシュボードには載せません。それは「掘り下げる」ときに見るものであって、俯瞰する画面に置くと逆に何も見えなくなります。
良いダッシュボードと残念なダッシュボード
良いダッシュボード
見た瞬間に「今日は問題なさそう」か「何かおかしい」かが判断できる。数字の数が絞られていて、それぞれに「この値が悪いとどうまずいのか」がはっきりしている。
残念なダッシュボード
グラフが20個並んでいて、全部きれいだけど、結局どれを見ればいいのかわからない。しばらくすると誰も開かなくなる。「取れるデータを全部載せた」結果こうなりがちです。
正直、自分も最初にダッシュボードを作ったときは後者をやりました。せっかくデータがあるんだから全部出そう、と。で、3週間くらいで誰も見なくなる。情報を集めることより、何を捨てるかを決めることのほうが難しいんですね。
「ダッシュボード」という言葉が出てきたときの読み方
開発ツールやクラウドサービスの説明で「ダッシュボードから確認できます」と書かれていたら、たいていはブラウザやアプリで開ける、状況を見るための画面を指しています。設定を変える画面のことを指す場合もありますが、基本の役割は「見る」ことです。
もうひとつ、文脈によっては「特定の画面」ではなく「自分で作る一覧」を指すこともあります。監視ツールなどでは、必要なグラフを自分で選んで並べて、自分専用のダッシュボードを組み立てられるようになっているものが多いです。この場合の「ダッシュボード」は、名前の付いた設定の集まり、くらいの意味になります。
使うときのちょっとしたコツ
初めて触るサービスのダッシュボードを開いたら、まず数字の単位と期間を確認するのをおすすめします。「1,240」と大きく出ていても、それが今月の合計なのか、今日の分なのか、直近1時間なのかで意味がまるで違う。だいたい小さい文字で書いてあるので見落としやすいところです。
それから、正常なときの見た目を一度覚えておくこと。普段の姿を知らないと、異常が起きてもそれが異常だと気づけません。車の計器も、いつもの針の位置を知っているから「あれ、今日は水温高いな」に気づけるわけで、これはソフトウェアでも同じです。
このページは役に立ちましたか?